【令和8年度(2026年)】中小企業診断士1次試験「経営法務」出題予想|令和元年〜令和7年(再試験含む)全設問の徹底分析

【令和8年度(2026年)】中小企業診断士1次試験「経営法務」出題予想|令和元年〜令和7年(再試験含む)全設問の徹底分析

中小企業診断士1次試験の中でも、毎年多くの受験生を悩ませるのが「経営法務」です。会社法・知的財産権・民法と出題範囲が広く、年度によって難易度が大きく振れるため、科目合格率が一桁台まで落ち込むこともある「事故の起きやすい科目」として知られています。令和8年(2026年)の試験に向けては、令和8年(2026年)1月1日に施行された改正下請法(中小受託取引適正化法・取適法)など、見逃せない法改正も控えています。

本記事では、令和元年度(2019年)から令和7年度(2025年)まで(令和5年度の再試験を含む全8回・合計200設問)の本試験問題を、設問1・設問2まで1問も省略せずに分野別へ整理します。各年度の全設問の出題テーマを一覧化したうえで、出題サイクルと最新の法改正動向を踏まえ、令和8年度(2026年)に狙われやすい論点を予想します。

これから経営法務の学習を本格化させる方はもちろん、過去問演習を一巡し「次にどこを固めるべきか」を考えている方、そして指導の立場で出題傾向を網羅的に把握したい方にも参考になる内容です。

経営法務はなぜ「事故が起きやすい科目」なのか

経営法務は、配点100点・試験時間60分のマークシート科目です。1問4点で、毎年25設問が出題されます。問題用紙上の大問の数は20〜25と年度によって変わりますが、これは1つの大問が「設問1・設問2」に分かれて2問分の配点を持つことがあるためで、採点される設問の数は毎年25で一定です。1問あたりの配点が大きく、1つの取りこぼしが合否に直結しやすい構造です。

難しさの本質は、出題範囲が「会社法」「知的財産権」「民法」という性質の異なる3つの大きな柱にまたがる点にあります。条文知識を正確に押さえる必要がある一方、年度によっては学習しづらい細かい手続論点や、初見の判例・条約知識が問われることもあり、得点が安定しにくいのです。実際、過去には科目合格率が一桁台まで落ち込んだ年もあり、多くの受験生が60点の壁、そして40点未満という足切りラインを意識せざるを得ない科目です。

POINT経営法務は「満点を狙う科目」ではなく、頻出分野を確実に取り、難問は割り切って捨てるという戦略科目です。出題分野の濃淡を正しく把握することが、得点の安定に直結します。

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過去7年間(全8回)の分野別出題数の推移

まず、令和元年度から令和7年度まで(再試験を含む全8回)の出題を、設問単位で4つの大分類に分けて集計したのが下表です。設問1・設問2に分かれる大問はそれぞれ1問として数えているため、各年とも合計は25設問になります。

分野 令和元年 令和2年 令和3年 令和4年 令和5年 令和5年
再試験
令和6年 令和7年
会社法・組織再編 6 6 5 9 8 7 9 7
知的財産権 8 8 10 9 7 8 9 8
民法 6 9 6 5 4 8 3 6
経済法・取引等 5 2 4 2 6 2 4 4
合計(設問) 25 25 25 25 25 25 25 25

この8回・合計200設問を分野別に合計すると、知的財産権が67設問(約34%)、会社法・組織再編が57設問(約29%)、民法が47設問(約24%)、経済法・取引等が29設問(約15%)となります。

最も注目すべきは、知的財産権と会社法の2分野だけで全体のおよそ6割(124設問)を占めるという点です。この2つの柱を取りこぼさないことが、経営法務攻略の最優先事項になります。一方で民法は年度による振れ幅が大きく(令和6年度3問〜令和2年度・再試験9問)、相続・契約を中心に、出題が増えた年でも崩れない備えが必要です。経済法・取引等は各年2〜6問と少なめですが、論点が固定的で得点しやすい領域です。

【全設問一覧】令和元年〜令和7年(再試験含む)全8回の出題項目

ここからは、各年度の全設問について、出題テーマと分野を一覧で示します。設問1・設問2に分かれる大問は「第6問(1)」「第6問(2)」のように分けて、それぞれ1問として掲載しています。複数年で繰り返し登場する論点ほど、令和8年度(2026年)でも問われる可能性が高いと考えられます。

令和元年度(2019年)(22大問・25設問)

分野別内訳(設問単位):会社法・組織再編 6問知的財産権 8問民法 6問経済法・取引等 5問

設問 出題テーマ 分野
第1問 持分会社の比較(合同・合名・合資会社) 会社法
第2問 株式会社の事業譲渡 会社法
第3問 会社の清算・特別清算 会社法
第4問 相続分の計算(特別受益・寄与分) 民法
第5問 株式と社債の比較 会社法
第6問(1) 株主総会の招集通知の発送期限 会社法
第6問(2) 株主提案権(議案要領通知請求権の要件) 会社法
第7問 下請法 経済法・取引等
第8問 金融商品取引法(縦覧書類の公衆縦覧期間) 経済法・取引等
第9問(1) 著作権の譲渡(27条・28条の特掲) 知的財産権
第9問(2) 著作者人格権の譲渡(一身専属性) 知的財産権
第10問 物の形状の保護(意匠・商標・不正競争防止法) 知的財産権
第11問 著作権の保護期間 知的財産権
第12問 意匠(新規性喪失の例外) 知的財産権
第13問 特許権 知的財産権
第14問 商標の先使用権 知的財産権
第15問 産業財産権法(横断比較) 知的財産権
第16問(1) 国際取引・英文契約(危険負担・所有権の移転) 経済法・取引等
第16問(2) インコタームズ(CIF) 経済法・取引等
第17問 共有 民法
第18問 担保物権(物上代位) 民法
第19問 保証 民法
第20問 債権譲渡 民法
第21問 遺言 民法
第22問 マザーズ上場審査(形式要件) 経済法・取引等

令和2年度(2020年)(22大問・25設問)

分野別内訳(設問単位):会社法・組織再編 6問知的財産権 8問民法 9問経済法・取引等 2問

設問 出題テーマ 分野
第1問 改正民法(意思表示・法定利率・根保証) 民法
第2問 株式会社の設立 会社法
第3問 株主総会・取締役会議事録の比較 会社法
第4問 限定承認 民法
第5問 株式会社の合併(吸収合併) 会社法
第6問(1) 取締役会設置会社の取締役の人数 会社法
第6問(2) 監査役・委員会等の設置 会社法
第7問 自己株式 会社法
第8問 産業財産権(横断比較) 知的財産権
第9問 職務著作 知的財産権
第10問 パリ条約(優先権の期間) 知的財産権
第11問 不正競争防止法・商標(商品等表示) 知的財産権
第12問 実用新案法と特許法の比較 知的財産権
第13問 特許権侵害への対応(先使用権・新規性喪失) 知的財産権
第14問 不正競争防止法(デッドコピー・営業秘密・限定提供データ) 知的財産権
第15問 著作権法(引用) 知的財産権
第16問(1) 国際取引・英文契約(責任制限・出訴期間条項) 経済法・取引等
第16問(2) 準拠法条項 経済法・取引等
第17問 相隣関係 民法
第18問 時効 民法
第19問 詐害行為取消権 民法
第20問 保証(事業貸金等債務・公正証書) 民法
第21問(1) 定型約款の合意・表示 民法
第21問(2) 定型約款の変更 民法
第22問 請負・委任 民法

令和3年度(2021年)(20大問・25設問)

分野別内訳(設問単位):会社法・組織再編 5問知的財産権 10問民法 6問経済法・取引等 4問

設問 出題テーマ 分野
第1問 社債 会社法
第2問 消費貸借(改正民法) 民法
第3問 簡易合併手続 会社法
第4問 破産手続・民事再生手続 経済法・取引等
第5問 景表法(懸賞・景品類の限度額) 経済法・取引等
第6問 取締役会と監査役会の比較 会社法
第7問(1) 遺留分 会社法
第7問(2) 議決権制限株式・相続人に対する売渡請求 会社法
第8問 不正競争防止法 知的財産権
第9問 意匠登録制度 知的財産権
第10問 特許法(願書・特許請求の範囲) 知的財産権
第11問 特許権侵害・発明の実施 知的財産権
第12問 地域団体商標 知的財産権
第13問 商標の先使用権 知的財産権
第14問 特許協力条約(PCT) 知的財産権
第15問 産業財産権法(横断比較) 知的財産権
第16問(1) 特許の専用実施権(設定登録) 知的財産権
第16問(2) 独占的通常実施権・差止請求 知的財産権
第17問(1) 国際取引(送金・荷為替手形による支払) 経済法・取引等
第17問(2) 信用状取引の流れ 経済法・取引等
第18問(1) 集合債権譲渡担保・譲渡禁止特約 民法
第18問(2) 動産売買先取特権・物上代位 民法
第19問 契約の解除(改正民法) 民法
第20問(1) 売買契約不適合(履行の追完) 民法
第20問(2) 商人間売買(商法526条の検査・通知義務) 民法

令和4年度(2022年)(22大問・25設問)

分野別内訳(設問単位):会社法・組織再編 9問知的財産権 9問民法 5問経済法・取引等 2問

設問 出題テーマ 分野
第1問 株式の併合と分割の比較 会社法
第2問 取締役・監査役の任期 会社法
第3問 会社法改正(株主提案権・議案数の上限) 会社法
第4問 株式会社と合同会社の比較 会社法
第5問(1) 事業譲渡・会社分割の対価(金銭・株式) 会社法
第5問(2) 事業譲渡・会社分割の手続(買取請求・債権者保護) 会社法
第6問(1) 公開会社ではない株式会社の特徴 会社法
第6問(2) 株式会社設立の注意点 会社法
第7問 合弁会社(出資比率・拒否権・デッドロック) 会社法
第8問 産業財産権法(横断比較) 知的財産権
第9問 特許法(専用実施権・共有・権利主体) 知的財産権
第10問 著作権法(著作物の種類) 知的財産権
第11問 不正競争防止法(デッドコピー・限定提供データ) 知的財産権
第12問 実用新案法 知的財産権
第13問 商標(パリ条約優先権・マドプロ出願) 知的財産権
第14問 特許(新規性喪失の例外) 知的財産権
第15問 著作権(著作者人格権・同一性保持権) 知的財産権
第16問 特許権・著作権の共有 知的財産権
第17問(1) 国際取引・英文契約(補償・解除時の原材料買取条項) 経済法・取引等
第17問(2) 再販売価格の拘束(独占禁止法) 経済法・取引等
第18問 時効 民法
第19問 保証 民法
第20問 相殺 民法
第21問 相続分(代襲相続・相続放棄・胎児) 民法
第22問 相続(配偶者居住権・対抗要件・限定承認) 民法

令和5年度(2023年)(21大問・25設問)

分野別内訳(設問単位):会社法・組織再編 8問知的財産権 7問民法 4問経済法・取引等 6問

設問 出題テーマ 分野
第1問 株主総会 会社法
第2問 取締役・監査役の選任・解任決議 会社法
第3問 取締役会 会社法
第4問 監査役 会社法
第5問(1) 設立の発起人(法人・人数) 会社法
第5問(2) 設立時取締役の選任手続 会社法
第6問(1) 吸収合併と事業譲渡(債務承継・対価) 会社法
第6問(2) 吸収合併と事業譲渡(解散・相手先) 会社法
第7問 独占禁止法(課徴金減免制度) 経済法・取引等
第8問 民事再生手続(双務契約) 経済法・取引等
第9問 特許法(実施行為) 知的財産権
第10問 特許法・実用新案法 知的財産権
第11問 特許法(共有) 知的財産権
第12問 不正競争防止法 知的財産権
第13問 商標法 知的財産権
第14問 実用新案登録に基づく特許出願 知的財産権
第15問 商標(複数役務・音商標) 知的財産権
第16問(1) 国際取引・英文契約(準拠法・仲裁条項) 経済法・取引等
第16問(2) 裁判と仲裁の違い(ニューヨーク条約) 経済法・取引等
第17問(1) 遺留分(用語) 民法
第17問(2) 経営承継円滑化法の民法特例 民法
第18問 製造物責任法(PL法) 経済法・取引等
第19問 景表法(表示) 経済法・取引等
第20問 共有(民法・知的財産権の横断) 民法
第21問 相殺 民法

令和5年度 再試験(25大問・25設問)

分野別内訳(設問単位):会社法・組織再編 7問知的財産権 8問民法 8問経済法・取引等 2問

設問 出題テーマ 分野
第1問 定款・商号 会社法
第2問 株主総会 会社法
第3問 自己株式の取得・株式の消却・併合(資本金・発行済株式の変動) 会社法
第4問 普通決議・特別決議 会社法
第5問 合同会社 会社法
第6問 遺留分(経営承継円滑化法・除外合意) 民法
第7問 合併(簡易合併) 会社法
第8問 株式会社の清算 会社法
第9問 独占禁止法(課徴金算定率) 経済法・取引等
第10問 特許法(願書・明細書) 知的財産権
第11問 意匠法 知的財産権
第12問 著作権法(職務著作・美術工芸品) 知的財産権
第13問 実用新案法 知的財産権
第14問 不正競争防止法 知的財産権
第15問 産業財産権(横断比較) 知的財産権
第16問 海外特許出願(パリ条約・PCT) 知的財産権
第17問 地域団体商標 知的財産権
第18問 代理 民法
第19問 インコタームズ(CIF・FOB) 経済法・取引等
第20問 時効取得・即時取得 民法
第21問 保証 民法
第22問 債権譲渡 民法
第23問 契約の解除 民法
第24問 不動産の賃貸借・転貸借 民法
第25問 遺言 民法

令和6年度(2024年)(24大問・25設問)

分野別内訳(設問単位):会社法・組織再編 9問知的財産権 9問民法 3問経済法・取引等 4問

設問 出題テーマ 分野
第1問 監査等委員会設置会社 会社法
第2問 監査役・監査役会 会社法
第3問 少数株主権(議決権数・継続保有期間) 会社法
第4問 剰余金配当 会社法
第5問 社債 会社法
第6問 定款の記載事項(絶対的記載事項) 会社法
第7問(1) 事業承継(特別支配株主の株式等売渡請求) 会社法
第7問(2) 事業全部譲渡の手続(債権者異議・株式買取請求) 会社法
第8問 株式の併合・分割 会社法
第9問 独占禁止法(課徴金・課徴金減免制度) 経済法・取引等
第10問 特許法(特許異議の申立て) 知的財産権
第11問 産業財産権(横断比較) 知的財産権
第12問 営業秘密・特許出願公開(不正競争防止法) 知的財産権
第13問 商標(動き商標・立体商標) 知的財産権
第14問 商標(役務・商品の該当性) 知的財産権
第15問 著作権(写り込み)・意匠(内装・建築) 知的財産権
第16問 パリ条約 知的財産権
第17問 特許法(職務発明) 知的財産権
第18問 商標法(専用使用権・通常使用権) 知的財産権
第19問 国際取引・英文契約(Severability条項) 経済法・取引等
第20問 売買契約不適合責任 民法
第21問 手付 民法
第22問 景表法(優良誤認・ステルスマーケティング規制) 経済法・取引等
第23問 消費者契約法 経済法・取引等
第24問 不法行為 民法

令和7年度(2025年)(24大問・25設問)

分野別内訳(設問単位):会社法・組織再編 7問知的財産権 8問民法 6問経済法・取引等 4問

設問 出題テーマ 分野
第1問 株主総会 会社法
第2問 取締役会 会社法
第3問 監査役 会社法
第4問 譲渡制限株式 会社法
第5問 合同会社 会社法
第6問(1) 会社分割と事業譲渡(契約移転・債権者保護) 会社法
第6問(2) 会社分割と事業譲渡(反対株主の株式買取請求権) 会社法
第7問 下請法 経済法・取引等
第8問 国際取引・英文契約(仲裁条項) 経済法・取引等
第9問 特許法(職務発明) 知的財産権
第10問 特許法(補償金請求権) 知的財産権
第11問 不正競争防止法 知的財産権
第12問 商標法(立体商標) 知的財産権
第13問 パリ条約 知的財産権
第14問 著作権法(屋外に設置された美術の著作物) 知的財産権
第15問 著作権法(27条・28条の特掲・著作者人格権) 知的財産権
第16問 商標法(不使用取消審判) 知的財産権
第17問 共有 民法
第18問 保証 民法
第19問 消費貸借 民法
第20問 請負 民法
第21問 遺言 民法
第22問 遺留分 民法
第23問 製造物責任法(PL法) 経済法・取引等
第24問 民事訴訟法(紛争解決手続) 経済法・取引等

分野別の頻出論点を徹底分析する

会社法・組織再編 ― 8回で57設問、安定の得点源

会社法は8回で57設問が出題され、条文知識で対応できる最も安定した得点源です。中でも「機関」「株式」「組織再編」の3領域が繰り返し問われています。

機関では、株主総会(招集通知の発送期限・株主提案権・決議要件)が令和元年・令和5年・令和7年・再試験などで頻出。取締役会・監査役・監査役会・機関設計も、令和2年・令和3年・令和5年・令和6年・令和7年と毎年のように登場します。

株式・社債では、株式の併合と分割の比較(令和4年・令和6年・再試験)、自己株式(令和2年・再試験)、社債(令和3年・令和6年)、譲渡制限株式(令和7年)、設立・定款(令和2年・令和5年・令和6年・再試験)が定番です。

組織再編では、会社分割・事業譲渡・合併の比較がほぼ毎年のように形を変えて出題されています(令和元年・令和3年・令和4年・令和5年・令和6年・令和7年)。会話形式の長文で、設問1・設問2に分けて問われることが多く、包括承継と個別承継の違い、債権者保護手続の要否、反対株主の株式買取請求権の有無が最頻出の比較論点です。

注意会話形式の長文問題は読むのに時間がかかります。条文知識で確実に取れる問題から先に解き、長文や知財の難問は後回しにするという時間配分が、本番での得点最大化につながります。

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知的財産権 ― 8回で67設問、最大ボリュームの第一の柱

知的財産権は8回で67設問と、4分野で最多の出題数です。特許法・実用新案法・意匠法・商標法・著作権法・不正競争防止法・条約と範囲が広く、「広く浅く」では選択肢を絞り切れないのがこの分野の難しさです。

特許法では、職務発明(令和6年・令和7年)、特許権侵害・発明の実施(令和2年・令和3年・令和5年)、補償金請求権(令和7年)、願書・特許請求の範囲(令和3年・再試験)、共有(令和4年・令和5年)、ライセンス(令和3年)が頻出です。

商標法では、先使用権(令和元年・令和3年)、地域団体商標(令和3年・再試験)、立体・動き商標(令和6年・令和7年)、不使用取消審判(令和7年)、役務・商品の該当性(令和5年・令和6年)が問われています。著作権法では、職務著作(令和2年・再試験)、著作者人格権の一身専属性(令和元年・令和4年・令和7年)、引用・写り込み(令和2年・令和6年)が定番です。

補足知的財産権は、特許・実用新案・意匠・商標の4法を横断して比較する問題(産業財産権)が、令和元年・令和2年・令和3年・令和4年・再試験と頻出です。「出願公開制度の有無」「優先権」「存続期間」「審査請求の要否」を横並びにした一覧表を作っておくと、横断問題で大きく得点を稼げます。条約(パリ条約・PCT・マドプロ)も毎年のように問われます。

民法 ― 8回で47設問、相続と契約を軸に振れ幅へ備える

民法は8回で47設問。年度による振れ幅が大きく、令和6年度の3問から令和2年度・再試験の9問・8問まで幅があります。範囲が膨大なため、出やすいテーマに絞った対策が現実的です。

最頻出は相続分野です。遺留分(令和3年・令和5年・令和7年・再試験)、相続分・代襲相続(令和元年・令和4年)、遺言(令和元年・令和7年・再試験)、限定承認(令和2年)が繰り返し問われ、事業承継(経営承継円滑化法の除外合意・固定合意)とも結びつきます。

契約・債権分野では、平成29年(2017年)の債権法改正で論点化した消費貸借・売買契約不適合責任・請負・保証・解除・債権譲渡・相殺・定型約款が頻出です。保証は令和元年・令和2年・令和4年・令和7年・再試験と特に多く問われています。物権では共有(令和元年・令和5年・令和7年)が定番です。

経済法・取引等 ― 8回で29設問、少数だが取りやすい

独占禁止法(課徴金・課徴金減免)、景表法、下請法、消費者契約法、製造物責任法(PL法)、倒産法(破産・民事再生)、国際取引・英文契約、民事訴訟法、金融商品取引法といった分野は、各年2〜6問ずつ出題されます。範囲は広いものの問われる論点が固定的なため、頻出ポイントに絞れば得点しやすい領域です。

特に国際取引・英文契約は8回すべてで出題されており、準拠法・裁判管轄・仲裁条項・インコタームズ・信用状取引・Severability条項などが繰り返し問われています。設問1・設問2に分かれて2問分出る年も多く(令和元年・令和2年・令和3年・令和5年)、頻出の英文契約用語は意味と効果をセットで覚えておくことが有効です。

令和8年度に向けた法改正・時事トピック

経営法務では、施行から間もない法改正が出題されやすい傾向があります。令和8年度(2026年)の試験に向けては、次の2つの法改正が特に重要です。

下請法が「取適法(中小受託取引適正化法)」へ改正・改称

2025年5月16日に国会で下請法等の改正法が成立し、同月23日に公布されました。改正法は2026年1月1日から施行されます。これにより、長年親しまれてきた「下請法(下請代金支払遅延等防止法)」は、令和8年(2026年)1月1日から「中小受託取引適正化法(通称:取適法)」へと名称を変えました。試験は例年8月に行われるため、令和8年度試験は改正法の施行後に実施される最初の試験となります。

主な変更点として、「下請」等の用語の見直しや、価格据置取引への対応、手形払等の禁止、運送委託の対象取引への追加、従業員基準の追加が挙げられます。具体的には、「親事業者」は「委託事業者」、「下請事業者」は「中小受託事業者」へと用語が改められ、従来の資本金基準に加え、従業員基準(300人、100人)が追加されました。また、中小受託事業者からの価格協議の求めに応じずに、一方的に代金を決定することが新たに違反行為とされた点も重要です。

注意下請法は令和元年度・令和7年度に出題された頻出テーマです。改正により法律名・用語・規制内容が変わったため、令和8年度は改正後の取適法ベースで問われる可能性が高いと考えられます。旧名称・旧用語との対応関係を整理しておくことが安全です。

フリーランス新法(特定受託事業者取引適正化等法)

もう一つ注目すべきは、「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(正式名称:「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」)で、令和6年(2024年)11月1日に施行されました。これは、フリーランス(特定受託事業者)に業務を委託する事業者に取引条件の明示や報酬支払期日の遵守などを義務づける法律です。下請法が資本金1,000万円を超える法人にのみ規制が適用されるのに対し、フリーランス・事業者間取引適正化等法は資本金の金額にかかわらず従業員を使用している全ての発注事業者が規制の対象になります。

取適法とフリーランス新法は適用関係が整理されており、取引適正化という共通テーマでまとめて理解しておくことが、令和8年度対策として効果的です。

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令和8年度(2026年)の出題予想

過去8回の全設問の傾向と最新の法改正動向を踏まえ、令和8年度(2026年)に狙われやすい論点を分野別に予想します。下表は、出題可能性が高いと考えられる順に整理したものです。

分野 予想される論点 注目度
会社法(機関) 株主総会(招集・決議要件)、取締役会、監査役、機関設計、役員の任期・選解任 ★★★
会社法(株式・組織再編) 株式の併合分割・自己株式・社債、会社分割と事業譲渡の比較、持分会社、設立、事業承継 ★★★
知的財産権 特許(職務発明・補償金・侵害)、商標(立体・不使用取消・役務商品・地域団体)、著作権(人格権・写り込み)、産業財産権の横断比較、パリ条約・PCT ★★★
取引法務(法改正) 改正下請法=取適法(用語変更・従業員基準・運送委託・手形払禁止・一方的代金決定の禁止)、フリーランス新法 ★★★
民法(相続・事業承継) 遺留分、相続分・代襲相続、遺言、限定承認、経営承継円滑化法の除外合意・固定合意 ★★☆
民法(契約・債権・物権) 売買契約不適合責任、消費貸借、請負、保証、相殺、債権譲渡、解除、共有 ★★☆
経済法・その他 独占禁止法(課徴金)、景表法(ステマ規制)、消費者契約法、PL法、国際取引・英文契約、倒産法、民事訴訟法 ★★☆

予想を踏まえた令和8年度の対策の要点は、次の3点に集約されます。第一に、知的財産権と会社法の2大分野を最優先で固めること。この2分野で全体の約6割を占めるため、ここを安定させることが60点突破の前提になります。第二に、改正下請法(取適法)を改正後の内容で押さえること。施行直後の法改正は出題されやすく、用語の変更だけでも取りこぼしのリスクがあります。第三に、民法は相続と契約の頻出論点に絞ることです。

合格に向けた学習戦略 ― 足切りを避け、安定して取る

経営法務は満点を狙う科目ではありません。重要なのは、取れる問題を確実に取り、難問は割り切るという現実的な戦略です。8回分の出題傾向を踏まえると、学習の優先順位は次のように整理できます。

① 知的財産権と会社法を得点の土台にする
8回で計124設問を占める2大分野。特許・商標・著作権の頻出論点と、会社法の機関・株式・組織再編を、条文と比較表で徹底的に固めます。

② 産業財産権は4法を横断整理する
特許・実用新案・意匠・商標の比較表を作り、条約(パリ条約・PCT・マドプロ)の優先期間も押さえる。

③ 法改正(取適法・フリーランス新法)を最新化する
施行直後の改正は狙われやすい。古い教材のままにせず、改正後の内容に更新する。

④ 民法・経済法は頻出論点に絞る
相続・契約・独禁法・景表法・国際取引など、出題が固定的なテーマだけを確実に押さえる。

そして本番では、条文知識で解ける会社法の問題から着手し、会話形式の長文や初見の知財論点は後回しにするという時間配分を徹底することで、限られた60分の中で得点を最大化できます。

この記事のまとめ

ポイント 内容
① 毎年25設問・8回200設問 設問単位では知財67・会社法57・民法47・経済法等29設問。知財と会社法の2分野で約6割を占めます。
② 会社法は比較と会話形式 機関・株式・組織再編が定番。会社分割と事業譲渡の比較は会話形式の長文(設問1・設問2)でほぼ毎年出題されます。
③ 知財は4法横断で固める 特許の職務発明、商標の立体・不使用取消、著作権の人格権が頻出。産業財産権の横断比較表が有効です。
④ 取適法の改正が最重要 下請法は令和8年(2026年)1月施行で「取適法」に。改正後の内容で押さえることが必須です。
⑤ 取れる問題を確実に 満点ではなく安定得点が目標。条文で解ける会社法から着手し、難問は割り切る時間配分が鍵です。

よくある質問(Q&A)

Q1経営法務はどのくらいの得点を目標にすべきですか。

A1.まずは40点未満の足切りを確実に回避し、60点到達を目指すのが現実的な目標です。経営法務は毎年25設問・1問4点で、年度による難易度の振れが大きいため、満点を狙うより、知的財産権と会社法の頻出分野で取りこぼさないことを優先します。難化した年でも、頻出分野を固めておけば足切りを避けられる可能性が高まります。1次試験は総点数で合否が決まるため、得意科目との合計で全体6割を確保する視点も大切です。

Q2会社法と知的財産権、どちらを先に学習すべきですか。

A2.会社法を先に固めることをおすすめします。会社法は条文知識で安定して得点でき、機関・株式・組織再編という出題の中心が明確だからです。知的財産権は8回で67設問と最多ですが、範囲が広く細かい手続や数値を覚える必要があるため、会社法で土台を作ったうえで上乗せする順番が効率的です。どちらも出題数が多いため、最終的には両方を仕上げる必要があります。

Q3下請法の改正は令和8年度試験で本当に出題されますか。

A3.確実に出題されるとは断言できませんが、注目度は高いと考えられます。下請法は令和元年度・令和7年度に出題された頻出テーマであり、令和8年(2026年)1月1日施行で「取適法(中小受託取引適正化法)」へと法律名・用語・規制内容が変わりました。施行直後の法改正は出題されやすい傾向があるため、改正後の内容で押さえておくことがリスク回避になります。少なくとも旧名称・旧用語のままの教材で学習している場合は、最新化が必要です。

Q4知的財産権が苦手です。優先して覚えるべき論点はどこですか。

A4.まず特許・実用新案・意匠・商標の4法を横断的に比較する一覧表を作りましょう。出願公開の有無、優先権、存続期間、審査請求の要否などを横並びにすると、産業財産権の横断問題(8回中5回出題)で得点しやすくなります。そのうえで、特許の職務発明、商標の立体・動き・不使用取消審判・地域団体商標、著作権の著作者人格権・写り込みといった頻出論点を上乗せするのが効率的です。条文の数値(期間・人数)まで正確に覚えることが、選択肢の絞り込みに直結します。

Q5会話形式の長文問題は、どう対策すればよいですか。

A5.会話形式は、組織再編(会社分割と事業譲渡の比較)や事業承継、知財の出願戦略、英文契約などで頻出で、設問1・設問2に分かれて2問分の配点を持つことが多いのが特徴です。対策の基本は問われている論点を素早く特定することにあります。会話の体裁に惑わされず、空欄の前後で何の比較・手続が問われているかを見抜けば、本質は通常の知識問題と変わりません。時間がかかるため、本番では条文で解ける短い問題を先に処理し、長文は後回しにする時間配分が有効です。

Q6民法は範囲が広すぎます。どこまでやるべきですか。

A6.民法は出題数の振れ幅が大きい分野なので、頻出テーマに絞るのが現実的です。優先すべきは相続(遺留分・相続分・遺言・限定承認)と契約(売買契約不適合責任・消費貸借・請負・保証・解除・相殺・債権譲渡)です。相続は事業承継とも結びつくため、診断士試験では繰り返し問われます。平成29年(2017年)の債権法改正で論点化したテーマも狙われやすいので、改正の要点を押さえておきましょう。物権・親族など出題頻度の低い領域に深入りするのは得策ではありません。

Q7英文契約の問題は捨ててもよいですか。

A7.捨てる必要はありません。国際取引・英文契約は8回すべてで出題されており、しかも設問1・設問2に分かれて2問分出る年も多い得点源です。問われる論点(準拠法・裁判管轄・仲裁条項・インコタームズ・信用状取引・Severability条項など)も固定的です。長い英文を完全に読解する必要はなく、頻出の契約用語の意味と効果をセットで覚えておけば、十分に得点できます。費用対効果の高い得点源と位置づけられます。

Q8過去問は何年分を、どう使えばよいですか。

A8.直近5〜7年分を繰り返し解くことをおすすめします。経営法務は同じ論点が形を変えて繰り返し出題される科目なので、過去問を「解く」だけでなく「設問単位で分野別に分解して傾向を掴む」使い方が効果的です。ただし、法改正があった論点(下請法→取適法、債権法改正など)は、当時の正解が現行法では変わる場合があります。古い年度の問題は、改正の有無を確認しながら学習することが大切です。

Q9令和5年度の再試験の問題も解く価値はありますか。

A9.十分に価値があります。再試験も本試験と同水準で作成された全25設問の問題であり、定款・商号、株主総会、自己株式、決議要件、合同会社、遺留分、合併、清算、独占禁止法、特許・意匠・著作権・実用新案、地域団体商標、代理、インコタームズ、時効取得、保証、債権譲渡、解除、賃貸借、遺言と、本試験と共通する頻出論点が幅広く出題されています。演習量を増やし、頻出論点の角度を変えた問い方に慣れる教材として活用できます。

Q10経営法務の学習で、最も意識すべきことは何ですか。

A10.「完璧主義を捨て、頻出分野で確実に取る」という割り切りです。経営法務は範囲が広く、年度によって初見の難問が混ざります。すべてを完璧に押さえようとすると時間が足りなくなり、かえって頻出分野の取りこぼしにつながります。知的財産権と会社法を土台に据え、法改正を最新化し、難問は割り切る——この優先順位を守ることが、安定した得点と足切り回避の最短ルートです。

中小企業診断士試験の合格なら壱市コンサル塾

出題傾向の分析と、現場に活きる学びを両立する

壱市コンサル塾では、合格をゴールに据えながら、その先の実務でも活きる学びを大切にしています。経営法務のように範囲が広く得点が安定しにくい科目こそ、過去問の傾向分析にもとづいた「優先順位づけ」と「割り切り」が合否を分けます。

壱市コンサル塾の指導は、診断士として現場で企業を支援している立場から、なぜその論点が問われるのか・実務でどう使うのかまで含めて学べる点が特長です。

📊 出題傾向にもとづく学習設計

過去問を設問単位で分野別に分解し、頻出論点と捨て論点を明確化。限られた学習時間を、得点に直結する分野へ集中させます。

📋 法改正への最新対応

取適法(旧下請法)やフリーランス新法など、施行直後の法改正もフォロー。古い教材のままにしない最新化を支援します。

🤝 現場視点での理解の定着

単なる暗記ではなく、診断士が現場で扱う論点として理解することで、記憶の定着と2次試験・実務への接続を図ります。

経営法務の対策に不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

こんなお悩みをお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

  • ✅ 経営法務の得点が安定せず、足切りが不安
  • ✅ 範囲が広すぎて、どこから手をつければよいか分からない
  • ✅ 知的財産権が苦手で、丸暗記に頼ってしまっている
  • ✅ 法改正に対応した最新の情報で学習したい
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山口 晋

山口 晋

認定経営革新等支援機関ID:107613000510
経済産業大臣登録 中小企業診断士(登録番号420415)

長野県上田市出身。中小企業診断士・行政書士が所属する、株式会社壱市コンサルティングの代表
不動産業界にて約18年間、不動産売買仲介やビル管理運営に従事。その後、経営コンサルタントとして独立し、株式会社壱市コンサルティングを設立。

得意な業界は、IT業界、不動産業、建設業、飲食業、サービス業全般。
事業計画策定、資金調達、補助金支援などを通じて、事業者の成長フェーズや置かれている状況に応じた支援を行ってきた。

事業再構築補助金、ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、新事業進出補助金、省力投資補助金(一般型)などを中心に、補助金採択総額は15億円以上、約100件以上の支援実績を有する。

一方で、補助金支援やコンサルティングの現場において、「採択されたにもかかわらず事業が前に進まない」「実行段階で立ち止まってしまう」といったケースに数多く立ち会い、正解や制度活用だけでは経営は良くならないという問題意識を強める。

現在は、申請や実行を前提とするのではなく、進む・進まないを含めた経営判断を事前に整理することを重視した支援スタイルへと軸足を移している。
経営者が自ら判断を引き受け、納得して前に進める状態をつくることを目的としている。

また、壱市コンサル塾では、中小企業診断士2次試験対策講座の講師、
実務従事サービス、独立・副業支援などを通じて、診断士の育成や実務支援にも長年携わってきた。
現在は「正解を教える」こと以上に、自ら考え、判断できる人材を増やすことを重視している。

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