【令和8年度】中小企業診断士1次試験 経済学・経済政策|過去8回分析と出題予想を徹底解説
令和7年度(2025年)の中小企業診断士1次試験が終了し、令和8年度(2026年)の受験生にとっての最大の関心は「経済学・経済政策で次に何が出題されるか」です。配点が大きく、論点も広いこの科目は、過去問の傾向を正確につかむことが合格への近道となります。
経済学・経済政策は、毎年7割以上が定番論点から出題される一方、周期的に登場するテーマや時事を反映した新出論点が必ず混じる科目です。やみくもに参考書を読み込むよりも、まず過去問の出題分布を俯瞰したうえで、頻出領域から優先的に手を打つのが最短ルートとなります。
本記事では、令和元年度(2019年)から令和7年度(2025年)までの本試験7回および令和5年度の再試験を加えた計8回分の過去問を分野別に集計したうえで、令和8年度試験で出題される可能性が高い論点を、頻度・周期・経済時事の3つの観点から具体的に予想しています。これから本格的に学習を始める方はもちろん、直前期に何を固めるべきか迷っている方にも参考になります。
- 過去8回(令和元年〜令和7年度+令和5年度再試験)の分野別出題頻度
- 8回連続出題の必出コア5分野と出題確度ランキング
- 令和8年度に復活する確率が高い「ヤマ張り対象」の周期型論点
- 正誤組み合わせ問題の急増という形式変化への具体的対応策
- 合格水準60点を狙うための優先順位別・学習戦略
過去8回の出題傾向の全体像
経済学・経済政策は、第1問〜第3問の統計図表問題に始まり、その後マクロ経済学、ミクロ経済学の順で出題される構成が定着しています。総問題数は20〜25問で、配点は100点満点です。
過去8回の構成比率は、おおむね次の配分で安定しています。学習の優先順位を考えるうえで、まずはこの大枠を頭に入れておくことが重要となります。
| 領域 | 出題問数の目安 | 配点比率の目安 |
|---|---|---|
| 統計図表問題(第1〜2問または第1〜3問) | 2〜3問/回 | 約12% |
| マクロ経済学(理論) | 8〜10問/回 | 約36% |
| ミクロ経済学(理論) | 9〜12問/回 | 約44% |
| 応用・時事的論点 | 1〜2問/回 | 約8% |
注目すべき形式変化として、令和5年度以降に統計図表問題が2問体制から3問体制へとシフトしている点があります。令和5年度本試験、令和6年度、令和7年度と3回連続で第3問まで統計図表が出題されており、白書グラフ対策の重要性が増しています。
マクロ経済学の頻出論点と過去8回の出題分布
過去8回のマクロ経済学の出題を分野別に集計すると、次のとおりとなります。「統計図表」「GDP・国民経済計算」「45度線・乗数」「為替・マンデル=フレミング」の4分野は8回すべてで出題されており、これらは絶対に落とせない必出のコア論点です。
| 分野 | R1 | R2 | R3 | R4 | R5本 | R5再 | R6 | R7 | 回数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 統計図表問題 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 8/8 |
| GDP・国民経済計算 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 8/8 |
| 45度線分析・乗数 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 8/8 |
| 為替・マンデル=フレミング | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 8/8 |
| 消費理論(絶対所得・恒常所得) | ● | ● | ● | ● | - | ● | ● | - | 6/8 |
| 貨幣・金融政策 | ● | ● | ● | - | - | ● | ● | ● | 6/8 |
| 失業(自然失業率仮説) | ● | ● | ● | ● | - | - | ● | - | 5/8 |
| IS-LM分析 | - | ● | ● | - | ● | - | - | ● | 4/8 |
| 景気循環・景気動向指数 | - | - | - | ● | ● | ● | - | ● | 4/8 |
| 物価指数・物価硬直性 | - | ● | - | - | ● | ● | - | ● | 4/8 |
| AD-AS分析 | ● | - | - | ● | - | - | ● | - | 3/8 |
| 投資理論(加速度・q理論) | - | ● | - | - | - | ● | - | ● | 3/8 |
| 国債・財政 | - | - | - | - | ● | ● | ● | - | 3/8 |
| 経済成長・TFP・コブ=ダグラス | ● | - | ● | - | - | - | - | - | 2/8 |
特筆すべきは、マンデル=フレミング・モデルが8回連続で出題されている点です。変動相場制・固定相場制それぞれの財政政策・金融政策の効果は、形を変えながら毎年問われており、得点源にしやすい領域です。
反対に、失業(自然失業率仮説)は令和元年から令和6年まで頻出だったものの、令和7年で途切れた状態にあります。出題サイクルから判断すると、令和8年度で復活する確率はきわめて高いと見ています。
ミクロ経済学の頻出論点と過去8回の出題分布
ミクロ経済学は、より定型的な論点が繰り返し問われる領域です。「消費者理論」「生産者理論」「完全競争・不完全競争(独占)」「国際貿易」の4分野は7/8回以上出題されており、ミクロ攻略の中核となります。
| 分野 | R1 | R2 | R3 | R4 | R5本 | R5再 | R6 | R7 | 回数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 完全競争・不完全競争・独占 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 8/8 |
| 消費者理論(無差別曲線・予算制約) | ● | ● | ● | - | ● | ● | ● | ● | 7/8 |
| 生産者理論(費用関数・等費用線) | ● | ● | - | ● | ● | ● | ● | ● | 7/8 |
| 国際貿易(比較優位・関税) | ● | ● | ● | ● | ● | - | ● | ● | 7/8 |
| 需要・供給曲線とシフト | ● | ● | ● | ● | ● | - | - | ● | 6/8 |
| 外部性(外部経済・不経済) | - | ● | ● | - | ● | ● | ● | ● | 6/8 |
| 余剰分析 | ● | ● | ● | - | - | - | ● | ● | 5/8 |
| 所得効果・代替効果 | - | ● | ● | - | ● | - | ● | ● | 5/8 |
| 労働市場(買い手独占等) | - | ● | ● | - | ● | ● | ● | - | 5/8 |
| 情報の経済学 | ● | - | - | ● | ● | ● | - | - | 4/8 |
| ゲーム理論 | - | ● | - | ● | ● | ● | - | - | 4/8 |
| 所得分配・税制 | - | ● | - | ● | - | - | ● | ● | 4/8 |
| 需要の価格弾力性 | - | - | - | ● | - | - | ● | ● | 3/8 |
| 公共財(競合性・排除性) | ● | - | ● | - | - | - | ● | - | 3/8 |
特に注意したいのが、独占市場が8回すべてで出題されているという点です。「利潤最大化条件(MR=MC)」「死荷重」「自然独占」「2部料金制」「独占的競争」などの派生論点が毎年形を変えて登場するため、独占の図解は最優先で固めるべきテーマです。
また、ゲーム理論と情報の経済学は令和5年度本試験までは頻出だったものの、令和6年度・令和7年度と2年連続で姿を消しています。出題周期から判断すると、令和8年度はこの両分野が復活する確率が高いと判断できます。
令和5年度以降の出題形式の変化と注意すべき傾向
過去8回を時系列で観察すると、令和5年度を境に明確な形式変化が起きています。それは「正誤の組み合わせ問題」の急増です。3〜4個の選択肢a〜dの正誤を判定し、その組み合わせを答える形式は、令和元年〜令和4年度では全体の3〜5割程度でしたが、令和7年度では全22問中14問を占める主流形式となりました。
この形式変化が意味するのは、「ひとつの論点を浅く知っている」では正解できないということです。たとえば令和7年度第10問のIS-LM分析では、4つの選択肢それぞれについて「IS曲線の傾き」「投資の利子感応度」「貨幣需要の所得感応度」「貨幣需要の利子感応度」と異なる切り口を組み合わせて正誤を問う構成になっています。論点を断片的に暗記するのではなく、概念どうしの関係性まで理解しておく必要があります。
令和8年度の出題予想(高確度・中確度・要警戒)
過去8回の頻度分析、出題周期、最新の経済時事を踏まえると、令和8年度(2026年)試験で出題される可能性は次のように整理できます。
高確度予想(出題確率80%以上)
| 分野 | 予想される具体テーマ | 根拠 |
|---|---|---|
| 統計図表(第1〜3問) | 令和7年版経済財政白書、労働経済白書、日銀統計、対内直接投資、賃金・物価動向 | 8回連続出題 |
| GDP・国民経済計算 | GDPに含まれる範囲、三面等価、名目・実質GDP、総需要恒等式 | 8回連続出題 |
| 45度線分析・乗数 | 政府支出乗数・租税乗数・均衡予算乗数の計算、限界輸入性向 | 8回連続出題 |
| 為替・マンデル=フレミング | 変動・固定相場制下の財政・金融政策の効果、金利平価・購買力平価 | 8回連続出題 |
| 独占市場の分析 | 利潤最大化(MR=MC)、死荷重、自然独占の価格形成、2部料金制 | 8回連続出題 |
| 消費者理論 | 無差別曲線、予算制約線、所得効果・代替効果、エンゲル曲線 | 7/8回出題 |
| 生産者理論 | 短期費用曲線、等費用線・等産出量曲線、利潤最大化、操業停止点 | 7/8回出題 |
| 国際貿易 | 比較優位・機会費用、関税・貿易自由化の余剰分析、生産補助金の効果 | 7/8回出題 |
| 消費理論 | 絶対所得仮説、恒常所得仮説、ライフサイクル仮説の比較 | 6/8回出題 |
| 貨幣・金融政策 | マネタリーベース、信用乗数、公開市場操作、貨幣需要の動機 | 6/8回出題 |
| 外部性 | 外部不経済の内部化(ピグー税)、補助金による外部経済の内部化 | 6/8回出題 |
中確度予想(出題確率50〜80%・周期型で復活が近い)
| 分野 | 予想される具体テーマ | 根拠 |
|---|---|---|
| ゲーム理論 | ナッシュ均衡、囚人のジレンマ、利得表分析、支配戦略 | R2・R4・R5で出題後、R6・R7で2年連続未出題 |
| 情報の経済学 | モラルハザード、逆選択、シグナリング、効率賃金 | R1・R4・R5で出題後、R6・R7で2年連続未出題 |
| 失業(自然失業率) | 長期・短期フィリップス曲線、期待インフレ率、構造的・摩擦的・循環的失業 | R1〜R6で5/7回、R7で途切れた直後 |
| AD-AS分析 | 古典派・ケインズ派の総需要・総供給、流動性のわな | R1・R4・R6に出題、隔年型でR8の番 |
| 労働市場 | 買い手独占、最低賃金、賃金決定、効率賃金 | 5/8回出題、R7で途切れた |
| 余剰分析 | 消費者余剰・生産者余剰の計算、社会的余剰の比較 | R6・R7に連続出題、定着の可能性 |
| 所得分配・税制 | ローレンツ曲線・ジニ係数、累進課税、負の所得税、従価税 | R6・R7で連続出題、定着の可能性 |
| 公共財 | 競合性・排除性による財の分類、共有資源 | R1・R3・R6と隔年型で出題、R8で順番 |
要警戒予想(時事を反映する新出論点・希少論点)
令和7年度(2025年)は、米国の関税政策の見直しや日米金利差を背景とした円安進行、賃上げを軸とした物価動向など、マクロ経済の論点が大きく動いた年でした。これらの時事的トピックや、過去8回で1〜2回しか出題されていない希少論点が、令和8年度の「変化球」となる可能性があります。
- マーシャル=ラーナー条件・Jカーブ効果:令和7年度第11問で円建て貿易収支の式から出題されたばかり。円安と貿易収支の関係は引き続き重要。
- 関税の効果(保護貿易の余剰分析):令和元年・令和7年で出題済み。米国の対日関税という時事を反映して、別形式での再出題があり得る。
- フィッシャー方程式・実質利子率:令和7年度第9問で出題。日銀の利上げ局面が続くなか、名目利子率と実質利子率の関係は再出題の可能性。
- 経済成長理論(コブ=ダグラス型生産関数・全要素生産性):令和元年・令和3年以降出題されておらず、AI・DX投資の加速を背景に再登場の可能性。
- 賃金・価格の硬直性(メニューコスト・効率賃金):令和2年で1度のみ出題された希少論点。賃上げ局面の時事性から再登場の可能性。
- 独占的競争(チェンバリン・モデル):令和2年で1度のみ出題された希少論点。独占の出題サイクルから派生形として登場する可能性。
- 費用便益分析・公共経済学:令和元年で1度のみ出題された希少論点。公共投資政策の議論を背景に再登場の可能性。
出題予想を踏まえた効率的な学習戦略
頻度分析と出題予想を踏まえると、限られた学習時間でどの論点に時間を投下すべきかが明確になります。「絶対に落とさない論点」と「周期的に登場する論点」を分けて対策するのが、合格戦略の核心となります。
まとめ:令和8年度試験を突破する5つのポイント
過去8回(令和元年〜令和7年度+令和5年度再試験)の出題分析と令和8年度の予想を踏まえ、合格に向けた要点を5つに整理します。
Q&A よくある質問
Q1.経済学・経済政策はどのくらいの学習時間が必要ですか
Q2.文系出身で数学が苦手ですが大丈夫でしょうか
Q3.独学とスクール受講のどちらが向いていますか
Q4.過去問は何年分解けばよいですか
Q5.計算問題と理論問題のどちらを優先すべきですか
Q6.統計図表問題(第1〜3問)はどう対策すべきですか
Q7.難化した年と易化した年の差は大きいですか
Q8.他の1次試験科目との学習バランスはどうとればよいですか
Q9.経済学・経済政策の知識は2次試験でも使いますか
Q10.万一不合格となった場合の科目合格制度はどう活用すべきですか
中小企業診断士の合格と独立後の実務まで、壱市コンサル塾
壱市コンサル塾は、中小企業診断士の2次試験対策・実務従事・独立支援に特化したスクールです。代表の山口は中小企業診断士shinblog(shindanshi-shinblog.com)を運営し、5年にわたり受験対策コンテンツを発信しています。個別指導・添削・動画・採点サービスを組み合わせ、合格と合格後のキャリア構築を一貫してサポートする体制を整えています。
✅ 経済学・経済政策で得点が伸び悩んでいる
✅ 2次試験の答案作成で独学の限界を感じている
✅ 合格後の登録ポイント・実務従事の機会を探している
✅ 独立診断士としてのキャリア構築を相談したい