令和8年度中小企業診断士試験委員を分析

令和8年度中小企業診断士試験委員が公表

令和8年4月23日に中小企業診断士試験員が公表されました。

48名の令和8年度の試験委員の方は、中小企業診断協会のホームページにございます。

令和8年度中小企業診断士試験委員名簿

名簿通り

1.基本委員(五十音順、敬称略)12名

岩﨑 邦彦、上田 隆穂、大滝 精一、小川 正博、奥村 雅史、河野 宏和、佐々木 宏、本田 康夫、山倉 健嗣、山本 孝夫、横山 将義、渡辺 達朗 以上

2.出題委員(五十音順、敬称略)36名

足代 訓史、東 伸一、石田 和之、市来嵜 治、伊藤 匡美、井戸田博樹、稲田 周平、梅澤 俊浩、大久保寛基、奥田 百子、奥本 英樹、河田 真清、木島 豊希、清松 敏雄、小林 崇秀、佐々木将人、澁谷 覚、神宮 貴子、曽布川哲也、髙橋 郁夫、田名部元成、丹下 英明、遠原 智文、中島 慧、成岡 浩一、野村 容康、深沼 光、福嶋 路、松田 温郎、三谷 革司、向 正道、森田 裕之、山岡 徹、山口 淳、山﨑 泰弘、山田 耕嗣 以上

※太字が新規に追加となった方、および復帰された方。

基本委員は令和7年度から変更なしの12名

基本委員は令和7年度から変更なく、同じ12名の構成となりました。

令和3年度から5年連続で11名体制が続いた後、令和7年度に12名体制へと拡大。令和8年度はその体制が継続となりました。基本委員の顔ぶれが変わらないため、試験の運営方針や出題の大枠についても大きな転換は想定しにくい状況と言えます。

なお、昨年令和7年度は、岩崎 邦彦 教授(従前より事例Ⅱの作問者と言われている)、河野 宏和 教授(運営管理・事例Ⅲ)、本田 康夫 教授(事例Ⅲ、北海道の企業がモデルとなるケース多数)の3名が新たに基本委員に加わっており、事例Ⅱ・事例Ⅲの作問ラインが強化された体制が継続している形となります。

出題委員は5名追加、4名削除で合計36名に

出題委員は、令和7年度の35名から1名増えて、令和8年度は36名となりました。

削除された委員(4名)

石崎 徹、斎藤 文、平木いくみ、堀内 恵 の4名が令和8年度より出題委員から外れました。

追加された委員(5名)

東 伸一、神宮 貴子、髙橋 郁夫、向 正道、山口 淳 の5名が令和8年度より追加となりました。

このうち、東 伸一 教授は令和元年度以来6年ぶりの復帰となります。そして、神宮 貴子 准教授、髙橋 郁夫 教授、向 正道 教授、山口 淳 准教授の4名が完全新規の追加です。

過去の出題委員の変更人数をみていくと、令和元年度と令和2年度では9名が変更、令和2年度と令和3年度では8名が変更、令和3年度と令和4年度では3名変更4名が新規、令和4年度と令和5年度では7名変更、令和5年度と令和6年度は3名の変更、令和6年度と令和7年度では9名変更と令和に入って最も多い変更となりました。そして令和7年度と令和8年度では5名追加・4名削除と、大変動だった昨年から一転して比較的穏やかな変更に落ち着きました。

試験委員は、大学の教授、准教授、専門家、弁護士の方で構成されています。

どの教授がどの科目や事例を担当されているのか、専門分野や著書から推測します。

復帰した東 伸一 教授のプロフィールと著書

東 伸一 教授

青山学院大学 経営学部 マーケティング学科 教授

専門:商学、マーケティング、流通論、小売業態、SPA、質的比較分析(QCA)、過程追跡法

事例Ⅱ、企業経営理論。

研究者情報 – 東 伸一 | 青山学院大学

令和元年度に出題委員として参画し、令和2年度には削除となっていた教授。令和8年度より6年ぶりに復帰となりました。

ここ数年は、小売ビジネスモデルの研究における質的比較分析(QCA)や過程追跡法のアプローチに力を入れており、「小売ビジネスモデルを研究するための分析アプローチ-過程追跡法による事例内因果分析と質的比較分析-」で日本マーケティング学会マーケティングジャーナル2022奨励賞を受賞。青山の地域イメージの分析など、地域研究にも関心が広がっています。

ファッション産業におけるマーケティングや、日本の食品スーパーの戦略グループ研究などの実証研究の実績も豊富であり、事例Ⅱ、企業経営理論の領域での影響力が期待される教授です。

神宮 貴子 准教授(新規)

共愛学園前橋国際大学 国際社会学部 情報・経営コース 准教授

専門:経営工学、サービスサイエンス、マネジメント・サイエンス、最適化アルゴリズム、生産・物流設計

運営管理、事例Ⅲ。

神宮 貴子|共愛学園前橋国際大学

早稲田大学大学院理工学研究科経営システム工学専攻満期退学(修士・工学)。2015年4月に共愛学園前橋国際大学に着任し、2019年4月より現職。

「現場で学ぶ、現場に学ぶ」「地域で学ぶ、地域に学ぶ」をプロジェクトポリシーとし、地域企業の経営課題解決を目的に、企業の方々と神宮ゼミの学生が「協働」する「YoSolabプロジェクト」を主宰。中小企業における生産性向上・付加価値向上のための研究や教育・支援活動にも力を入れている准教授です。

中小企業大学校のWEBee Campusでコラムの執筆実績もあり、国内外の企業現場における生産性向上を目的としたコンサルティング活動も行っています。まさに運営管理・事例Ⅲの現場改善・生産性向上の観点で影響力がある新規出題委員と言えます。

髙橋 郁夫 教授(新規)

青山学院大学 経営学部 マーケティング学科 教授(慶應義塾大学 名誉教授)

専門:マーケティング論、消費者行動論、流通チャネル、ブランド研究

事例Ⅱ、企業経営理論。

研究者情報 – 髙橋 郁夫 | 青山学院大学

慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程修了、博士(商学)。慶應義塾大学商学部教授を経て2023年より同大学名誉教授。同年4月より青山学院大学経営学部教授に就任。

マーケティングと消費者行動の関係をミクロおよびマクロの視点から、理論的・実証的に分析。流通チャネルやブランドに関する実証研究を主軸としている。学校法人慶應義塾の常任理事や慶應義塾志木高等学校校長などの管理職を歴任し、現在は太陽生命保険株式会社の社外取締役や一般財団法人日本産業協会会長も兼務するなど、理論と実務の架け橋として多方面で活動されている教授です。

国際ロータリー財団奨学生としてノースウェスタン大学大学院に、訪問研究員としてコンコーディア大学(カナダ)、ワシントン大学(アメリカ)に留学した経歴も持ち、国際的な視野からの消費者行動研究にも定評があります。

令和8年度は青山学院大学マーケティング学科から、東 伸一 教授、髙橋 郁夫 教授の2名が新たに出題委員に加わる形となり、事例Ⅱ・企業経営理論の領域における同学科の影響力がさらに高まったと言えます。

以下、著書。

(高嶋克義と共著、有斐閣、2020年)

(千倉書房、2019年)

向 正道 教授(新規)

開志専門職大学 事業創造学部 教授

専門:経営情報システム、IT戦略、デジタル経営、DX、ダイナミックケイパビリティ、差別化システム

経営情報システム。

向 正道 (Masamichi Mukai) – researchmap

京都大学工学研究科原子核工学専攻を修了後、1991年に新日本製鉄株式会社に入社。2001年に新日鉄ソリューションズ株式会社(現新日鉄住金ソリューションズ株式会社)に転籍し、ソリューション企画・コンサルティングセンター部長を歴任。早稲田大学大学院商学研究科博士後期課程を修了し、開志専門職大学事業創造学部教授に就任されています。

経営戦略とIT戦略の融合、基幹系システム構築プロジェクトの成功要因、IT投資と企業業績の関係、ダイナミックケイパビリティとDXなど、情報システム実務と経営戦略を架橋する研究を多数発表。経営情報学会の理事(組織委員長)を歴任、一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)「企業IT動向調査」調査部会委員も務めています。

IT実務の第一線経験をベースに研究を行っている教授であり、経営情報システムにおいて、より実務感覚に基づく出題傾向に影響する可能性があります。

以下、著書。

(中央経済社、2018年)

(日経BP、2013年)

山口 淳 准教授(新規)

東京工科大学 コンピュータサイエンス学部 コンピュータサイエンス学科 准教授

専門:オペレーションマネジメント、生産政策、組織ルーティンの動的変化、業務・組織変革のためのマネジメント

運営管理、事例Ⅲ。

山口 淳 | 東京工科大学

東京大学経済学部卒業後、東京ガス株式会社に入社し13年間勤務。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程修了(MBA)、同後期博士課程修了を経て現職。東京工科大学では「オペレーションマネジメント研究室(山口研究室)」を主宰されています。

コンビニエンスストアなどの現場における業務プロセスの非効率を、作業レベル・店舗レベル・チェーン本部レベルで体系的に捉え直す研究を展開。ICT・経営・現場の3つをつなげて理解できる人材の育成にも注力されており、フィールドワークで企業の現場から出てくる様々な問題を集め分析するアプローチを得意としています。

運営管理、事例Ⅲの領域において、現場の改善活動やオペレーションマネジメントの視点から新たな論点を持ち込む可能性のある新規出題委員です。

調査分析まとめ~令和8年度試験への影響

以上、基本委員は令和7年度から変更なし、出題委員は5名追加・4名削除の変更となりました。

今回の変更から読み取れるポイントをまとめます。

1.基本委員無変更で、出題方針の大枠は令和7年度を踏襲する可能性

令和7年度は基本委員を11名から12名に拡大する大きな変更の年でした。令和8年度はその体制を維持する形で、試験の出題方針や運営の大枠は令和7年度の流れを踏襲する可能性が高いと考えられます。

2.事例Ⅱ・企業経営理論の陣容が強化

新規追加された5名のうち、東 伸一 教授、髙橋 郁夫 教授の2名が青山学院大学経営学部マーケティング学科から加わっています。基本委員には岩﨑 邦彦 教授(事例Ⅱの作問者と言われてきた教授)も残っており、事例Ⅱ・企業経営理論の作問ラインが厚くなった印象があります。

特に髙橋 郁夫 教授は消費者行動論の大家であり、東 伸一 教授はQCAや過程追跡法など質的研究の新しいアプローチを推進している教授。それぞれの研究領域が令和8年度の事例Ⅱにどう反映されるかが注目です。

3.運営管理・事例Ⅲ系も2名追加

神宮 貴子 准教授(経営工学、サービスサイエンス)、山口 淳 准教授(オペレーションマネジメント、生産政策)の2名が運営管理・事例Ⅲ系の出題委員に加わりました。両名とも、中小企業や現場の改善活動に関心が強い研究者で、事例Ⅲの作問や運営管理の出題論点において「現場改善」「業務プロセス」「組織ルーティン」といった切り口が強化される可能性があります。

4.経営情報システムに実務家ベースの教授が追加

向 正道 教授は新日鉄住金ソリューションズでコンサルティング部門の部長を歴任した実務家研究者です。経営情報システムの出題において、IT戦略と経営戦略の融合、DX、ダイナミックケイパビリティなど、より実務感覚に近い論点が加わる可能性があります。

5.出題委員の変更人数の推移から見る令和8年度

令和に入ってからの出題委員の変更人数の推移は以下の通りです。

  • 令和元年度→令和2年度:9名変更
  • 令和2年度→令和3年度:8名変更
  • 令和3年度→令和4年度:3名変更+4名新規
  • 令和4年度→令和5年度:7名変更
  • 令和5年度→令和6年度:3名変更
  • 令和6年度→令和7年度:9名変更(令和最多)
  • 令和7年度→令和8年度:5名追加・4名削除(今回)

昨年令和7年度に基本委員・出題委員とも大幅変更があったことから、令和8年度はその体制を落ち着かせつつ、特定領域(マーケティング、運営管理、経営情報システム)を強化する調整が行われたと捉えることができます。

毎年、中小企業診断士試験を研究していくとわかりますが、1次試験、2次試験ともに毎年少なからずマイナーチェンジをしており、直近では出題されやすい論点があったり、過去に出題されていた論点が直近では出題されなくなったり、過去に問われていた論点が急に出題されるようになったりと変化をしています。

以上、令和8年度試験対策のご参考にはなりましたでしょうか。

毎年少しづつ出題委員は変更となっており、本当に時間の余裕のある方は、過去の試験委員の記事を参考として、新しく加わった教授の書籍を一読してみるのもよいと思います。

【試験対策の深掘り分析】新規委員の研究テーマから導く令和8年度の注目論点

ここからは、実際に令和8年度試験を受験される方向けに、新規追加された委員の研究テーマ・著書・論文から読み取れる「注目論点」と「優先すべき学習ポイント」を、科目・事例別に具体的に整理しておきます。

◆事例Ⅱ・企業経営理論(マーケティング領域)の対策

令和8年度の最大の注目点は、青山学院大学経営学部マーケティング学科から東 伸一 教授、髙橋 郁夫 教授の2名が新規追加されたことです。基本委員の岩﨑 邦彦 教授と合わせて、マーケティング領域の作問ラインが極めて厚くなりました。

新規委員の研究テーマから想定される注目論点

東 伸一 教授の研究テーマからは、以下の論点が注目されます。

  • 小売ビジネスモデルの分析(QCA、過程追跡法)
  • 小売業態間の競争、SPA、ファッション産業
  • 食品スーパーの戦略グループと店舗運営システム
  • 地域イメージ(「青山」「地域ブランド」)と生活者の関係性
  • エフェクチュエーション(不確実性への対応)

髙橋 郁夫 教授の研究テーマからは、以下の論点が注目されます。

  • 消費者行動論の基本理論(購買意思決定プロセス、情報処理、個人差)
  • 流通チャネルとブランド構築
  • 小売マーケティングと顧客ロイヤルティ
  • 高齢化社会における消費者行動の変化
  • サステナブル消費、社会的関心事と消費行動

これらを統合すると、令和8年度の事例Ⅱでは、**「地域性」「小売業態の戦略的差別化」「消費者の購買意思決定プロセス」「高齢者・地域顧客のロイヤルティ形成」**といったテーマが論点化される可能性が高まります。また、岩﨑 邦彦 教授が基本委員として残っていることから、従来の「小が大を超える」「引き算する勇気」「ブランドづくり」「観光ブランド」といった地域中小企業の独自性を問う出題傾向は継続すると見込まれます。

受験生に推奨する優先書籍(事例Ⅱ対策)

  1. 最優先:岩﨑 邦彦『スモールビジネス・マーケティング』『小さな会社を強くする ブランドづくりの教科書』(基本委員として継続、従来通り必読)
  2. 次点:髙橋 郁夫『入門・消費者行動論』(消費者行動論の全体像を把握)
  3. 余裕があれば:東 伸一 教授の小売ビジネスモデル関連論文(researchmapで無料閲覧可能)

◆事例Ⅲ・運営管理(生産管理・オペレーション領域)の対策

事例Ⅲについても、神宮 貴子 准教授、山口 淳 准教授の2名が新規追加されました。さらに基本委員として河野 宏和 教授(元慶應義塾大学、IE・オペレーションマネジメント)、本田 康夫 教授(酪農学園大学、食品生産管理)も残っており、運営管理・事例Ⅲ系の作問ラインも強固です。

新規委員の研究テーマから想定される注目論点

神宮 貴子 准教授の研究テーマからは、以下の論点が注目されます。

  • 経営工学的アプローチによる生産性向上
  • サービスサイエンス(サービス業の生産性向上)
  • 最適化手法(数理的アプローチ)
  • 生産・物流設計
  • 地域中小企業の経営課題解決(YoSolab型の伴走支援)

山口 淳 准教授の研究テーマからは、以下の論点が注目されます。

  • オペレーションマネジメント、生産政策
  • 組織ルーティンの動的変化(業務プロセスが固定化する要因とその変革)
  • 業務・組織変革のためのマネジメント
  • フィールドワークによる現場問題の体系化
  • ICT・経営・現場の3つをつなぐ視点

これらを統合すると、令和8年度の事例Ⅲでは、**「現場の業務プロセスの問題を、組織構造やチェーン本部との関係まで遡って分析する」「ICTを前提とした業務プロセス設計と、前提が崩れた際の対応」「サービス業(非製造業)への生産管理的アプローチの適用」**といった論点が出題される可能性があります。特に山口 淳 准教授が注力する「組織ルーティンの動的変化」「現場の知恵やノウハウが改善活動につながる構造」は、事例Ⅲの設問構造に反映される可能性があるため注目です。

受験生に推奨する優先書籍(事例Ⅲ対策)

  1. 最優先:河野 宏和『IEパワーアップ選書 現場力を鍛える』『現場が人を育てる』(基本委員として継続)
  2. 次点:本田 康夫 教授関連の書籍(北海道の企業ケース等)
  3. 余裕があれば:神宮 貴子 准教授の中小企業大学校WEBee Campusコラム、山口 淳 准教授の研究論文

◆経営情報システムの対策

向 正道 教授の新規追加は、経営情報システム科目に実務家研究者の視点が加わる注目ポイントです。

向 正道 教授の研究テーマから想定される注目論点

  • 経営戦略とIT戦略の融合・整合性(「ねじれ構造」)
  • 基幹系情報システムの投資と計画未達要因
  • 差別化システムとIT/IS(競争優位の源泉としてのIT)
  • ダイナミックケイパビリティ(察知・反応・再構築)とDX
  • セブン-イレブン、ヤマト運輸のIT戦略事例
  • BAP(業務アプリケーション製品)の企業導入
  • オンライン診療、地域医療のIT活用

特に注目すべきは、ダイナミックケイパビリティ概念をDXと結びつける視点で、近年の経営情報システム出題でも、単なる技術用語の暗記ではなく、IT投資と経営戦略の結びつきを問う傾向が強まっている文脈に合致します。

受験生に推奨する優先書籍(経営情報システム対策)

  1. 向 正道『経営・事業・ITの三者で進める ITマネジメントの新機軸』(基本的なITマネジメント枠組み)
  2. 向 正道『セブン-イレブンとヤマト運輸のIT戦略分析』(事例学習にも活用可能)

◆1次試験への影響(科目全体)

令和8年度の1次試験では、以下の科目で新規委員の影響が出る可能性があります。

  • 企業経営理論:マーケティング分野で消費者行動論(情報処理、意思決定プロセス)、流通チャネル論、ブランド戦略の理論的設問が増える可能性
  • 運営管理:経営工学的アプローチ、サービスサイエンス、組織ルーティン論、最適化手法など、従来の生産管理に加えて「サービス業への適用」論点が増える可能性
  • 経営情報システム:IT戦略と経営戦略の整合性、DX、ダイナミックケイパビリティ、業務アプリケーション製品など、実務的な論点が増える可能性

◆令和7年度試験結果との照合から読み取る令和8年度の難易度予測

令和7年度は基本委員・出題委員ともに大幅変更の初年度でした。一般的に、大幅変更の初年度は出題方針を大きく動かさず、翌年以降に徐々に変化を反映させる傾向があります。

令和8年度は基本委員変更なし・出題委員5名追加・4名削除という中程度の変更であり、**「令和7年度の出題方針を継承しつつ、新規委員の研究テーマを反映した論点が徐々に混ざってくる年」**と捉えるのが自然です。

したがって、令和8年度受験生の学習戦略としては、

  1. 令和7年度の過去問を徹底的に分析して基本的な出題方針を把握する
  2. 新規委員の研究テーマに関連する論点(本記事で示した内容)を補強する
  3. 基本委員の書籍(岩﨑 邦彦、河野 宏和、本田 康夫)を押さえる

という順序で優先度をつけるのが効率的と言えます。

◆まとめ:令和8年度受験生がやるべきこと

  • 事例Ⅱ:青山学院大学マーケティング学科2名追加により、消費者行動論・流通論・小売業態論の理論的深化が予想される
  • 事例Ⅲ:経営工学・オペレーションマネジメントの2名追加により、現場改善・業務プロセス・組織ルーティンの視点が深まる可能性
  • 経営情報システム:IT戦略・DX・ダイナミックケイパビリティなど、実務家研究者の視点が反映される可能性
  • 1次試験:企業経営理論・運営管理・経営情報システムの3科目で特に影響が出る可能性

まずは令和7年度の過去問で基本方針を把握し、新規委員の研究テーマに関連する論点を補強的に学習する。これが令和8年度試験対策の基本戦略となります。

山口 晋

山口 晋

認定経営革新等支援機関ID:107613000510
経済産業大臣登録 中小企業診断士(登録番号420415)

長野県上田市出身。中小企業診断士・行政書士が所属する、株式会社壱市コンサルティングの代表
不動産業界にて約18年間、不動産売買仲介やビル管理運営に従事。その後、経営コンサルタントとして独立し、株式会社壱市コンサルティングを設立。

得意な業界は、IT業界、不動産業、建設業、飲食業、サービス業全般。
事業計画策定、資金調達、補助金支援などを通じて、事業者の成長フェーズや置かれている状況に応じた支援を行ってきた。

事業再構築補助金、ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、新事業進出補助金、省力投資補助金(一般型)などを中心に、補助金採択総額は15億円以上、約100件以上の支援実績を有する。

一方で、補助金支援やコンサルティングの現場において、「採択されたにもかかわらず事業が前に進まない」「実行段階で立ち止まってしまう」といったケースに数多く立ち会い、正解や制度活用だけでは経営は良くならないという問題意識を強める。

現在は、申請や実行を前提とするのではなく、進む・進まないを含めた経営判断を事前に整理することを重視した支援スタイルへと軸足を移している。
経営者が自ら判断を引き受け、納得して前に進める状態をつくることを目的としている。

また、壱市コンサル塾では、中小企業診断士2次試験対策講座の講師、
実務従事サービス、独立・副業支援などを通じて、診断士の育成や実務支援にも長年携わってきた。
現在は「正解を教える」こと以上に、自ら考え、判断できる人材を増やすことを重視している。

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